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「サイコⅢ」 ~草食男の性嫌悪物語~※ネタバレ注意

サイコ3の背表紙

抑圧童貞物語 「サイコⅢ」


ヒッチコックさんと言えば「元祖眼鏡萌え」


(この映画のバーバラ・ベル・ゲデスさんは非常に魅力的である。※1※2

であり

尚且つ、ドマザコン(「北北西に進路を取れ」を見ていただきたい)でそれを作家性にしている。

そんな彼が撮った「サイコ」


はマザコンの本領が発揮され
女装した「犯人」が最後に出てきてしまうシーンはともかく
撮影、編集、照明、演技指導、音楽、どれをとっても完璧なものであり
「サスペンスのひな形」というのに相応しい作品である。


中でも演技指導に注目していただきたい。
「めまい」と「私は告白する」のDVDの特典映像でも語られていたが(どの版かは申し訳ないが不明です・・・)
ヒッチコックさんは元々外形的な演技の付け方をする人で
「右向いて~、左向いて~、顔、顎だけ上にあげて~、はいOKです。」
という感じだった。

この映画の有名なラストシーンも「はいニッコリ笑って~、ゆっくり目をカメラ目線にして顔上げて~、はいOK」
という感じで撮られたのだろう。

イタリア語で申し訳ない・・・


アンソニー・パーキンスさんはマジメマジメにその指示に従ったのだろうということはテレビの小さな画面で見ていれば伺える。
しかしその指示が「ニッコリと笑い出すタイミング」まで完璧だったため、パーキンスさんが本当に狂ったように思えてしまう。
当時「アイビールックがお似合いのトニパキ」※3として名を馳せていたので、観客の衝撃は大きかったのではないだろうか。




ここまでが枕で、ここからが本編です。
「サイコ」は、シリーズ化されているとの情報ですが、「1」があまりにも完璧だと見るのがはばかられてしまう。
しかし「2もオモロイで」という岸田裁月さんの声をキッカケ
僕は「入手できる機会があればシリーズを通して観よう」と決意することになった。


まず2はカメラワークに関して大いに大いに不満があったが
「ドライビングシアターで観たら面白いだろう」という作品に仕上がっていて
そこそこに満足した。
かなり年下のメグ・ティリーさんに母性を求めて甘える、アンソニー・パーキンスさんの姿が倒錯的で印象に残ってる。
イタリア語で申し訳ないですが、このシーン。

男性なら一度はこういうシチュエーションを夢見るのではないでしょうか?
夢見ませんか、そうですか。



でそれから何年か立って、ようやく「サイコ3」を入手したのでそれを観ることにした。
アンソニー・パーキンスさんが自ら監督したとのことで「謹製のノーマン・ベイツさん」である。

まあ肝心の中身ですが、前半はワンカットがワンカットが長すぎてカット割りもあまりうまくいっておらず
また役者出身の監督さんに有りがちな話だが、どうもアンソニーさん含め俳優陣の演技がのめり込みすぎていて
かなりオーバーに見えてしまう。
overengi_kyougaku_mini.jpg



役者陣の演技はその役者自身の能力よりも監督に依ることが見ていて分かる。
overengi_jossei_mini.jpg


ちなみにこの映画のヒロイン、ダイアナ・スカーウィッドさんは「サンフランシスコ物語」でアカデミー助演女優賞にノミネートされたが
「愛と憎しみの伝説」でラジー賞を獲っている。パンモロもあるでよ

「Because I am not one of your fuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuns」




後半の展開はもう見てらんない。展開に全くひねりがないどころか
「1」の展開そのままで、しかも「1」の編集前の素材をタイミング悪くカッティングしたみたいな感じである。
selfparody_stair_mini.jpg



最後の笑顔は、もはやセルフパロディの趣すらある。
selfparody_smile_mini.jpg



ところが中盤辺りにあまりにも奇橋な作家性がもたげてきて
「おや?」と思わせる。

何というか言いづらいのだが、“普通のヤリチン”が
「女の裸そのものに異常に興味を持っている男」として描かれている。
ijousyashin_mini.jpg



ピンク色の照明を当てたりと、性交渉の導入が異質すぎるのだ。
ijoupink_mini.jpg
(当時流行ったのだろうか・・・?)

実はこの映画、最初はこの男が真犯人という設定だったが、そうではなくなってしまい
その名残りらしいものが小道具にも残っているみたいなのだが
にしてもその人物設定と中学生みたいなサカリのついた腰つきのギャップがどうもおかしい。


そして一般の男女は何というか日がな一日、年がら年中サカり合っているかのように描かれるのだ。
yarichin_mini.jpg





この映画の主人公たるノーマン・ベイツさんはキリスト教的な価値観に囚われて
自らの肉欲を開放できないでいる女性と恋仲(?)になるのだが
禁欲的な二人のバックに、遠くの方から一般の男女が乱痴気騒ぎをしているらしい音声が流れてくるカットは
色んな意味で戦慄が走った。
backgroundyarichin_mini.jpg
音声と画の対比・・・・



どうして「サイコⅢ」がこんな奇妙な出来合いになったかというと
アンソニー・パーキンスさんが女性との性交渉に対して大変な恐怖心を抱いていたからである。
以下は町山智浩さんが書かれた「トラウマ映画館」

からの引用である。


当時パーキンスは三十五歳だったが、童貞だった。彼はホモセクシャルであり、それをずっと隠していた。
共演したジェーン・フォンダやブリジット・バルドーに誘惑されても拒否してきた。
だから性的に抑圧されたノーマン・ベイツをあれほどリアルに演じられたのだろう。



ジェーン・フォンダさんやブリジット・バルドーさんに誘惑されたという話は
アメリカ版wikipediaのAnthony Perkinsの項目に掲載されており
恐らく町山さんはこれを参考にしたのだろう。

He once said he felt too nervous around women, and resisted actresses Jane Fonda and Brigitte Bardot,
who had tried to seduce him during his youth.




そこから一次ソースを辿ってみると、インタビュー記事が出てくる。本人が答えてるものなのでかなり信憑性が高い。
英語全然できないので辞書と照らし合わせないと読めない文章だったが、中々面白い。
Return of Psycho Ⅱより)


In Paris, Brigitte Bardot invited him to her penthouse and made it clear she was ready for action.
"I was like an un-caged leopard," he says.
"Sooner than get close to her I would have crashed through the window and fallen to the pavement 10 stories below."


BB(ブリジット・バルドーさん)に誘われた上に「檻から出された豹のようだ」と感じて、ガラスを突き破り、地上から十階位の高さを飛び降りるとは凄まじい。
一体どういうシチュエーションなんだ。


彼は女性とは中々性交渉に及べず、男性とは関係を持てたそうだが
それは「男ダイスキ!Yeah!」だからではない気がする。
女性、或いは女性との行為を恐れて「理解出来ないもの」と思うあまりに、男に走ってしまったのではないかと下の文章から想像する。
(引用はまたしても Return of Psycho Ⅱ

Along the way I'd had homosexual encounters, but that kind of sex always felt unreal to me and unsatisfying.
And I had never had sex with a woman? the very thought of it terrified me."



メディア向けの声明だし、92年まで男との同性愛関係は続いてみたようなので(この記事は1983年のもの)
本当のところは本人にしか分からないが、アンソニー・パーキンスさんは男との性行為よりも
この映画のような「性行為なしに近い性愛」、もっと突き詰めて言えば
「挿入、被挿入によって伴うある種の支配、被支配的な関係から切り離された性愛」といった
「捻くれたシチュエーション」を夢見ていたのではないかと思う。
museiai_mini.jpg
そしてそれが不可能だとわかっていたから苦悩していたのかもしれない。




Amazon.comに彼の伝記があったので、概要とカスタマーレビューをチラ見したが
彼は5歳の頃に父を亡くしており、母から金銭的な搾取を受けていたという。
「父性の欠落」と「母性の抑圧」なんて、あまりにも典型的なホモセクシャルを生む環境なのだが
彼が単なるホモorバイセクシャルなのかというとそうではないように思える。
この映画での、異性間の情交の描き方には「肉食系の人々を草食系の人が覗いた時に感じる怯えの視点」が反映されているからだ。
yarimakuri_mini.jpg


いずれにせよ、もっと詳しく調べようとなるとこの本を読まないと分からないのだが・・・・



以下も町山智浩さんの本からの引用である。(敬称略)


七十二年、パーキンスは共演した女優ヴィクトリア・プリンシパルと
四十歳にして初めてのセックスを体験し、翌年に女性カメラマン兼女優と結婚
二児をもうけた。しかし同性愛の生活は続けていたらしく、九十二年にエイズで死亡した。



詳細な情報が載っていたため、一応wikipediaからも引用する。

He had his first intimate heterosexual experience at the age of 39 while working on the 1971 film「 The Life and Times of Judge Roy Bean」
with an actress who also appeared in the film.
According to an interview with People magazine Perkins declined to identify the actress,
but "other sources" have identified her as Victoria Principal.

On August 9, 1973, Perkins married photographer Berry Berenson.
They had two sons: actor Oz Perkins (b. February 2, 1974), and musician Elvis Perkins (b. February 9, 1976).


ちなみに奥さんだった人は彼のファンだったようです。

(二度あることは、三度ある。リターン・オブ・引用。Return of Psycho Ⅱ

in her teens she had kept Tony Perkins scrapbooks and fallen asleep dreaming about him.


これらの情報を加味した上でこのCMを見ると非常に味わい深いものがある。

「女の人はお母さんしか知りません・・・・」

「マザコン」を極めたヒッチコックさんがサスペンスの巨匠として地位を確立したので
アンソニー・パーキンスさんも「サイコ」のみにこだわらず
この路線をもっと深化させれば作家として名を馳せれたかもしれない、ということでお開き。






※1

入間洋さんの「1950-70年代の米英映画と女優に再フォーカスするページ」より
http://www.asahi-net.or.jp/~hj7h-tkhs/jap_actress_html/jap_actress_geddes.html

>テディベア(熊のぬいぐるみ)という女優さんとしては喜ぶべきか悲しむべきか分からないニックネームを頂戴していたそうですが
>そう言われれば、そんなイメージが無きにしもあらずです。垂れ目気味の目元がチャームポイントでしょうか。


※2

再び入間洋さんの「1950-70年代の米英映画と女優に再フォーカスするページ」より
http://www.asahi-net.or.jp/~hj7h-tkhs/jap_actress_html/jap_actress_novak.htm

>たとえば「The Great Movie Stars 2」(Little, Brown and Company)のバーバラ・ベル・ゲデスの項に
>「映画「めまい」の中でどうしても理解できないのは、世の普通の男がバーバラ・ベル・ゲデスよりも
>キム・ノバクを好むなどという戯言を信じろというのがいかに理不尽であるかという点である」と記されています。


※3


銀河望遠鏡さんより
http://dozeu.net/people/tony.html
>今では知る人の方が少ないけれど(ぼくだって、知ったのはずっと後だったけれど)1950年代後半から1960年
>トニー・パーキンス代前半の10年間は、トニ・パキがアイビー・ボーイの代表だったのだ。
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テーマ : 洋画
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